中華料理の真髄

petronius72009-10-04

medtoolzさんの完璧と無難というエントリを見て思ったのですが、
少ない経験を思い返して、美味しい料理の出る店を比べてみると、でかい店(チェーンとか)よりも小さな店の方がより当たりが多い気がします。
たとえば、焼肉だったら叙々苑とか牛角とかよりも、うちの近所のあの店の方が絶対に美味いとかそんな感じです。
ただ逆も真でして、まずい店を比べるとでかい店より小さい店の方が大はずれが多いという感じがします。

これは結局店のスケールと美味さをグラフに示すと

こんな感じかなと。
なんでこんな事になるかを考えてみると、次のようなことが考えられます。

レストラン業界には、

  1. 食材を買って
  2. 料理に加工する

という主に2つの工程があります。
いずれもバラツキが生じる可能性があって、
食材:生物なので基本的に同じに成り得ない
加工:人や器具による差
などが出てきます。
当然、良い料理を作ろうとすると、バラツキが問題になりますが、
スケールが小さい場合は、個別の対応で乗り切ることができます。
しかし、スケールが大きい場合、ある程度の品質を担保しようとすると、
バラツキを吸収できなくなってきます。
このため、だいたいどこの店でいつ食べても同じ位の味になるように
レシピに耐バラツキ性(ロバスト性)を持たせざるを得なくなります。
小さい店ではロバスト性に回すマージンを削れるので、より美味い料理に
ありつける可能性が出てくると考えられます。


一方、小さい店側の方がまずい料理が出てくる理由は、
食材仕入れや加工技術のノウハウ不足の店があるためといえます。
大きな店では、標準化されていますので、最低限の味は保証されることになります。


ということは、はずれを引きたくないならチェーン店に行けば良い一方、
必然的に美味い店を探すのなら、小さい所になるわけです。


さて、以前中国に行ったときに、何度か現地の人の紹介で「中華の美味い店」に連れて行って
貰ったことがあるんですが、不思議なことに妙にでかい店が多いんですよ。
でかいビル丸ごと一個でレストラン一軒とか。入口にオーナーの巨大写真とか…
残念なことに、上記の法則にしたがって、不味くは無いんですが、すごい美味くもない。
どうも中国人の一般的な考え方として、人をもてなすのはでかい店、という考えがあるようです。


中国人、見栄っ張りだなあ、とか思わなくもなかったんですが、
もしかしたら全然違う側面がある可能性に思い至りました。


単に、紹介してもらった人が店に詳しくないだけかもしれないんですが、
中国人は口コミが好きですので、すごい美味い店があればそちらに行くでしょう。
でも、すごい美味い店というのが、あまり存在しないかも知れない可能性は?


実は中華料理ってロバスト性を指向した料理なのかもしれません。
多少、食材がバラつこうが、加工がバラつこうが、
大量の油でガンガン火を通して、香辛料や調味料でしっかり味を付けてしまえば、
確実にあるレベルの食事ができるという意味で、非常に安定感があります。
だから、世界中のどこでも現地の食材に対応して、
中華料理が食べられるようになったと考えることもできそうです。


ともあれ、単なる思いつきなので、嘘の可能性は非常に高いですが。