円高が良いのか悪いのか

飽きて放置というのは、駄目人間の証です。
だいぶ放置してました。


id:Chikirinさんは尊敬するBloggerの一人ですが、ちょっとこれを読んでて違和感を感じたんで、メモを取っておきます。

1.円高が進むと、日本国内でのコストは増大し、現在の円高を牽引してきた製造業は窮地に陥いる。
2.そうすれば、他の産業に日本の需要がシフトする余地が生まれるので日本全体が生産性の向上を生む。
というのが該当する記事の主旨かと思います。


果たしてさらなる円高内需拡大が進むのか脳内シミュレーションしてみます。(しょせん妄想です)
仮定として、財、サービス、人の流動性は今後増加し続けると考えます。


1.さらなる円高において、電機、自動車産業などの製造業は打撃を受ける。
2.同様に、他の産業においても、同様に打撃は受ける。当然現時点で競争力のない産業は全滅して海外依存になる。
3.打撃を回避できるのは、おそらく海外で代替できない日本限定の産業のみである。(対面接客とか、資格の必要な医師、弁護士とかでしょうか)
4.日本限定の産業においても、人的流動により日本人の活動の余地は減っていく。(相撲みたいな感じですかね)
5.しかし、みんな死にかかっていてもその中でも競争力が比較的残っている電機、自動車産業は死に物狂いでカイゼンをすすめ、ある時点で為替と均衡する。
6.人的資源は、次第に生き残っている製造業に吸収されていく。(日本限定の産業の吸収力はおそらくほとんどないはず)
7.結局、製造業モノカルチャーのできあがり。あはー。


円高は日本人の労働価値が高いことを意味しているので、国際的な競争力のある職場で働ける人間にはものすごく優しいですが、それ以外の人間にとっては、どこにも仕事が転がっていない悲惨な状況を意味しています。だって今でもみんな切り詰めて100円ショップとか行ってるけど、あれって日本製のものなんかほとんどないですよね。可能性として日本人の愛国心が異常に向上して純日本製品orサービス以外受け付けないとかなれば別ですが、それは難しいし、そもそもすごい気色悪いのでそうなって欲しくはないです。

結局、日本の電機、自動車産業の高い生産性が、他の産業のクビを絞めているというのが、おそらく本質ではないかという気がします。



では、どうするのか?
今まで誰も成功していない問題を私が解けるはずもありませんので、無責任発言してみますが、
製造業の競争力を落として、その他の産業が追いつくのを待ってもらうしかないかと思います。
これってChikirinさんの記事の意図するところと似ているのですが、多分その方法は円高ではないということです。
むしろ円安の方が、様々な産業の種が生まれそうだと思うんですが、現状はそれを許しません。


では、
試行その1:製造業に規制をかけてがんじがらめにしてみましょう。
この不況のさなかに、ガンガン法人税増税、環境規制強化、なんてどうでしょうか?
まさに、鬼のような仕打ちで、うまくやれば、トヨタごときはあっさり倒産……はしなくて多分、国外逃亡。
見事国内から製造業の一掃に成功して、日本経済もハードランディング成功って感じですね。
あれ、でも何か内需拡大どころの状況ではないような……
ちょっと違うようです。


それでは…………
試行その2:保護してみましょうか?
競争力を長期的に奪う一番良い方法が保護政策であるのは、農業が証明しています。
多分、短期的には競争力の向上になりますが、すぐに麻薬が効いてカイゼンもなおざりになるはずです。
ちょうどこの大不況にぴったりの政策で、某ゴーン社長も要求してるくらいですから、国会も多分あっさり通りそうです。
大事なのは、期限をかっちり決めて1年限りとかけち臭いこと言わずに、とりあえずみんなが景気が良くなったと言うまでだらだら援助してあげること。
なんというか、実に日本的で良い政策ではないでしょうか。
その内に国際競争力が落ちて円安方向に進み、もっと違う方向の産業の芽が出てくるのを待つというのが良さそう。だけど、時間かかりそうだなー。


とか、思ってみました。
でも、やっぱりこの円高でも立ち向かっていける産業が出てきてくれたら、それに越したことはないんですけどね。